今回は過剰な皮脂分泌によって発症する「脂漏性脱毛症」を紹介します。
これはひこう性脱毛症と合わせて特殊な脱毛症とされていますが、頭皮環境が悪化すると誰にでも起こり得る脱毛症なので注意が必要です。
脂漏性脱毛症とは?
脂漏性脱毛症とは、頭皮から分泌される皮脂量が多くなることで、菌の増殖や毛穴のつまりからヘアサイクルが乱れてしまう脱毛症です。
頭皮の炎症の延長にある脱毛症でもあるため、基本的に皮膚科で治療を受けることになります。
脂漏性脱毛症の原因
脂漏性脱毛症は皮脂の過剰分泌が原因とされています。
・フケ
・生活習慣
・ヘアケア
・ホルモン
皮脂というのは上記のように様々な要因によって分泌量が増減しますが、正常なヘアサイクルを維持するために皮脂は大切も役割があります。
・頭皮の柔軟性
・頭皮の保湿
・頭皮の保護
・頭皮の抗菌
皮脂量が少なくなると頭皮が乾燥したり角質がはがれやすくなるため、身近な症状ではフケの発生があります。フケがたくさん発生するとひこう性脱毛症になることもあるため、脂漏性脱毛症を予防するために頭皮を洗い過ぎることは良くありません。
つまり、脂漏性脱毛症は過剰な皮脂分泌によってフケが大量発生したり頭皮に炎症が起こることから抜け毛に繋がりますが、皮脂量が少なすぎてもダメなんですね。
意図的に皮脂量を調整することはとても難しいですが、健康的な生活習慣や正しいヘアケアを心がけてバランスのよい皮脂量にすることが大切です。
脂漏性脱毛症の対策法
引用元:脂漏性皮膚炎のシャンプー案内
脂漏性脱毛症は生活習慣やヘアケアなど毎日のライフスタイルの延長から起こる可能性がありますが、冒頭で紹介したように特殊な脱毛症なので少し皮脂量が増えたくらいで「脂漏性脱毛症です!」と診断されることはありません。
ネットで脂漏性皮膚炎と検索すれば様々な症例を確認できますが、上記画像のように明らかに皮膚に異常が見られる症状です。
また、皮膚に異常が見られない場合も皮脂を原因に抜け毛が増えることがありますが、その場合に脂漏性皮膚炎と診断されることは殆どないでしょう。このあたりは脂漏性脱毛症なのかひこう性脱毛症なのか、その境目は重度の症状にならない限りは診断が難しいです。
どちらの脱毛症も「皮脂」や「フケ」によって発症する脱毛症であり、一言に頭皮環境の悪化です。対策法についても同じであり、明らかな頭皮異常から抜け毛が増えた場合は「皮膚科で治療を受ける」ことが対策法となります。
迷わずクリニックへ行こう
アスク井上クリニックでは、脂漏性脱毛症を以下のように紹介しています。
頭皮に合わないシャンプーの使用やシャンプー・リンスなどのすすぎ不足など、ヘアケアが不十分になると過剰に皮脂が分泌され、多量の皮脂がフケとなり頭皮や毛穴に残ってしまいます。これが毛根を塞ぎ皮膚炎になり抜け毛の原因になります。また、この脂漏性脱毛症は過度なダイエットやストレスでもホルモンのバランスを崩し発症することもあります。
引用元:アスク井上クリニック
また、治療に関しては「治療にはまず皮脂の過剰な分泌を抑えることが大切です。また炎症を抑えることで脱毛も収まります。」と述べておられるので、とにかく皮膚科で症状を診断してもらうことが先決です。
相談先は近所にある皮膚科でOKなので、最も身近なのは病院の皮膚科です。
育毛剤や発毛剤では治療できません・・・
抜け毛やハゲといえば育毛剤や発毛剤が活躍しますが、脂漏性脱毛症に関しては皮膚を治療する必要があるので、これらのアイテムで治すことはできません。
脂漏性脱毛症に対して育毛剤や発毛剤を使う場合、先に皮膚を治療しましょう。
炎症が収まって頭皮の異常が回復したのち、そこからは育毛剤や発毛剤を使ってヘアサイクルを正常化させるのは効果的です。
育毛剤や発毛剤の説明書にも記載されていますが、アトピーなど頭皮に異常が見られる場合は使用をやめて病院で診断を受けることが推薦されています。
AGAや円形脱毛症など様々な名称の抜け毛がありますが、脂漏性脱毛症は「皮膚の病気」であることから他とは区別して覚えておきたいところです。
脂漏性脱毛症の予防法
さて、脂漏性脱毛症になったらクリニックで治療を受ける、そして何よりも予防法を抑えておくことが大切です。
毎日のライフスタイルに気を遣うだけで脂漏性脱毛症を回避できることが多いので、以下のポイントを抑えておきましょう。
・十分な睡眠
・適度な運動
・栄養バランス
・正しいヘアケア
自分のライフスタイルを見直した時に気になる点があるならば、そこを軸に改善していくのが好ましいですね。
また、上記のポイントは円形脱毛症など様々な脱毛症を予防することにも繋がり、さらに生活習慣病など病気を回避することもできます。
寝る子は育つ!
規則正しい就寝を心がけることは難しいですが、遅くまでテレビやゲームに没頭するなど、睡眠を削る生活を継続することは控える方が良いです。
睡眠中は成長ホルモンが分泌されることから頭皮に好影響と言われており、ヘアサイクルを維持するためにもしっかりと眠ることはとても大切です。
睡眠不足になると眠気に襲われるので集中力が低下してしまい、イライラとした生活を送ることからストレスもたまりやすいです。
ストレスと言えば円形脱毛症が代表的ですが、脂漏性脱毛症以外にも抜け毛が増える原因を誘発するケースがあることを覚えておきましょう。
通勤に運動を取り入れよう!
運動不足も抜け毛と深い関係があり、肥満になると動脈硬化から血流が悪くなって頭皮に悪影響を及ぼすことが考えられます。また、血液の循環は筋肉も必要なので、定期的に運動をして肥満回避や筋肉増強に努力したいところです。
仕事が終わった後に運動するのは言葉では簡単ですが、実際にやるのはとても難しいですね。そこで、とにかく1日の歩数を増やすという点を意識して生活してみましょう。
「有酸素運動が~」というように運動にも様々な理論がありますが、基本的に歩数が増えると運動量も増えることになります。
自宅から最寄り駅までバスで5分や10分ならば、それを徒歩にすれば効率が良いですね。片道で15分や30分ほど歩けば往復では30分や1時間となり、十分に運動をこなすことができます。
結局、運動というのは時間の確保が難題となるので、日常生活の中に運動を取り入れる方が継続しやすいかもしれません。
これを機に栄養をマスターしよう!
栄養というのは抜け毛だけではなく、いろんな意味で大切ですね。
運動と同様に栄養バランスを整えることも実践が非常に難しいわけですが、いずれにしてもどこかのタイミングで食生活と向き合う必要があります。
皮脂の過剰分泌に対しては、カップラーメンなど高カロリーの食品一辺倒を避けるようにしておき、緑黄色野菜や魚介類など不足しがちな栄養素を取ることを心がけるのが効果的です。
栄養を深く追求していくとかなり奥が深く、一言に○○を摂取すればOKという簡単な解決方法ではなく「栄養バランスを整える」というのが課題となります。
栄養バランスを整えるためには1日に必要な栄養素一覧から献立を立てる必要があるので、一般的には栄養士でない限りは完璧な食生活を継続的に実践していくのはとても難しいです。
自分なりに栄養についてある程度は知識を学ぶ必要があり、サプリメントを取り入れるなど工夫をしながら努力してみてください。
ヘアケアにこだわろう!
脂漏性脱毛症は根本的にヘアケアにこだわることも大切です。
・ワックスやシャンプーの洗い残し
・乾燥の予防
基本的に洗髪のやり方を徹底してワックスやシャンプーをしっかり落とすことを意識しておけば問題ありません。
洗髪は「35度前後の温度で~」とか「湯シャンが~」など効果的とされるやり方が色々とあるようですが、普通に「しっかりと洗い落す」ことを心がけるだけでOKです。
気を付けておきたいのは、1日に何度も洗髪をして皮脂を落とし過ぎないことです。
皮脂が減ってしまうと乾燥しやすいのでフケが発生しやすくなり、角質が剥がれると毛穴も詰まりやすいですね。
上記で紹介したように皮脂は頭皮に対して大切な役割も担っており、乾燥肌に対しては逆にソンバーユのような油成分を摂取する方が良いこともあります。
1日1度の洗髪でその日につけたワックスやシャンプーなどの成分を洗い残さないように意識しておき、乾燥肌の方は化粧水を使うなどして頭皮を労わるようにしましょう。
また、関連する情報としてワックスの付け過ぎで抜け毛が増えるという説については、以下の記事を読んでみてくださいね。
まとめ
今回は脂漏性脱毛症を紹介しましたが、皮脂という誰もが分泌する物質によって起こる脱毛症ではあるものの、一般的に脂漏性脱毛症になることは少ないです。
基本的に脂漏性脱毛症は日頃の生活から予防することが大切であり、脂漏性脱毛症になったらクリニックで治療を受けるしかありません。
また、脂漏性脱毛症は「ひこう性脱毛症」と治療方法や原因が似ているため、ひこう性脱毛症についても合わせて知識を身に着けておくのが好ましいです。
育毛剤や発毛剤の使用に関しては、必ず皮膚科で治療をしてから使用するようにしてください。皮膚に炎症がある状態で育毛剤や発毛剤を使うと症状が悪化してしまうので、何よりも皮膚を治療することが先決です。